厚生労働省が発表する国の基幹統計である「毎月勤労統計調査」の不適切な方法が大きな問題となっています。
政府統計は、政策を決定するための重要なベースであり、明治14年にはすでに明治政府は「統計院」を設立しています。それほど重要な指標であり、それが不正確であれば、政策そのものが揺るぎかねない大問題です。
従業員500人以上の事業所については全てを調査対象とし、賃金や労働時間の実態を把握するのが、この毎月勤労統計調査です。この結果は、雇用保険や労災保険の給付額の算定基準となっています。
ところが、2004年より全数調査から抽出調査に勝手に変更し、2018年分からは勝手に統計を「修正」までするという杜撰な実態が明らかになりました。これによってか、2018年1月以降の賃金伸び率が急激に上昇し、それまでの統計データとの明らかな乖離が問題になりました。
このことが今回の不正発覚の原因ともなったわけですが、マスコミはこぞって「アベノミクスの成果」などと賞賛していました。
真相究明のための「特別監察委員会」での調査は、わずか1週間!厚生労働省の不正を調査することが目的であるにもかかわらず、身内が調査を行った実態や、報告書の原案を厚生労働省が作成した事実が明らかになり、第三者性や信頼性が大きく揺らいでいます。
真相解明にもほど遠いまま、「組織的隠蔽は認められなかった」と結論づけられ、「トカゲのしっぽ切り」のような形で処分だけが先行して行われました。
振り返ってみれば、最重要政府統計である、名目GDPでも、2016年からGDPの推計方法を変更し、「研究開発投資」を追加して加算するなどの見直しを行ったことで、名目GDPが「水増し」されました。
不適切な調査により発表された政府統計の多くが、アベノミクス政策の効果を示すような結果になっていることは大変興味深いですね。これも「忖度」でしょうか??