先ほど終わった参議院本会議において、TPP協定とTPP関連法が可決、成立してしまいました。
思い起こせば、2010年秋からずっとTPP問題に関わり、一貫して反対の立場で行動してきました。勉強会、運動を続け、情報収集のためアメリカに2回、韓国に1回、自腹で調査に行き、あらゆる機会を通じて反対の思いを伝え、TPPの問題点を広く多くの方々に伝える努力を続けてきたつもりです。この間、TPPを慎重に考える会の仲間の議員や農業関係者、一般の方々とたくさん出会い、思いを共有してきました。夏の参院選でもTPPの問題を訴え、国会に送り出してもらった立場として、怒りと悔しさと無念さ、そして止めきれなかった申し訳なさでいっぱいです。
TPP協定と関連法案の参議院での審議は、11月11日の本会議から始まりました。TPP協定は条約なので、憲法の規定により、衆議院の議決から30日以内に議決しないと、30日で、つまり明日、12月10日に自然成立してしまいます。
であれば、限られた時間内に、目一杯審議を、ということで、これまで参議院TPP特別委員会において審議を続けてきました。TPPの問題点を広く多くの方々に伝える努力を続けてきたつもりです。私もこの間、参考人質疑で1回、昨日の集中審議で1回、質問に立ちました。
問題点はたくさんありますが、大きく5点挙げます。
①公約と国会決議違反も甚だしいこと。農産物の重要5品目、品目単位で現在の関税水準を守れたものは皆無です。影響試算も過小評価、関税が撤廃もしくは削減されても体質を強化するから生産量には全く影響がありません、って、納得できません。
②十分な情報開示と国民的議論の末判断する、といった国会決議も守られていません。交渉参加の際に様々な条件を飲んでいます。これが何か、全く説明も情報開示もありません。出てきたのは真っ黒塗りのペーパーだけでした。
③トランプ次期大統領の離脱表明で、発効が極めて絶望的になりました。我が国の意思を示す、とか日本がアメリカに翻意を促す、とかおっしゃっていますが、交渉参加前から要求を飲んであれこれ約束をしてしまった日本が、どうしてそんな強がりを言えるのか、不思議です。何より、国内で承認することは、この内容が、TPPに代わる次なる交渉の際の基準、スタートラインになってしまいます。交渉というのは白紙からスタートして押したり引いたりで妥協点を探るもの。最初に譲るラインを見せてしまったら、あとはここからさらにどこまで上乗せするか、ということになってしまうのです。
④TPP離脱があたかも保護主義回帰であるかの間違ったイメージを国民に与えていること。日本は過去も現在もWTO、世界貿易機関に加盟しており、自由貿易のルールづくりに参画してきました。保護貿易の国でも保護主義の体制でもありません。TPPこそ、自由貿易の仮面を被りながら、多国籍企業の意見を反映させるために、あれは禁止、こういう機会を与えろ、など、あれこれうるさく注文が付いている管理貿易協定、新自由主義貿易協定です。改めて、自由、無差別、互恵」のWTOの精神に戻るべきです。
⑤TPP関連予算と関連法は、TPP発効が見込めない中で、一度執行停止すべき。不思議なことに、これまでの予算は「TPPを見据えて」いるものだからそのまま、でも来年度の予算に関しては、与党の予算編成大綱からスッポリTPPの記述が落ちている。大いなる矛盾です。
本会議では、記名投票、ということで、賛成者は白票、反対者は青色票を持って、登壇して投票しました。「ブレない、断固反対、ウソつかない」与党の皆さんはなぜか全員白票でした。