疑問だらけの外国人労働者受け入れ拡大 ~このまま拙速に進めて大丈夫か?

 今国会の最大の争点は、何といっても「出入国管理法改正案」、すなわち、深刻な人手不足を理由にした外国人労働者(専門的・技術的分野の労働者、技能実習生、留学生のアルバイトなど、現在約128万人)の受け入れ拡大の是非です。
 法案の閣議決定までの過程は、あまりに拙速かつ短絡的で、制度設計も不十分なままであり、労働力不足という目先の問題への付け焼き刃と断じるほかありません。

   「どういう分野に、何人ぐらい必要か」 ⇒「精査中」
   「相当程度の技能・技術・知識は何か」 ⇒「今後検討」

 要するに結論ありきで詳細は何も決まっておらず、安価な労働力を求める経済団体からの要請をそのまま受け入れただけというのが今回の改正法案の実態です。

受け入れ拡大で予想される主な懸念事項

●政府は従来、働き手不足の労働需給下では賃金が上がっていくと説明。しかし、現実には労働者の実質賃金は上がらず。その上、安い労働力を外国から招き入
れれば、さらに労働単価が下がるのは明らか
●賃金水準の高い都市部への集中や、低賃金労働の固定化などの懸念 
●会社の都合による突然の解雇や、低賃金・劣悪な環境での労働の強要など、外国人労働者の人権にも関わる問題が、依然放置されたまま

 一度受け入れた外国人労働者は、「人手不足が解消されたのでお引き取りください」とは簡単にはいきません。
 どうしても受け入れ拡大が必要というのであれば、その前提として、社会保険や年金などの社会保障負担のあり方や、家族の位置付け、日本語教育や住環境整備など、どのような制度と費用負担を社会全体で受け入れていくか、十分な議論が不可欠です。 
 日本の外国人政策の歴史的な転換点となる可能性をはらんでいるにもかかわらず、このまま性急にことを進めれば、将来に禍根を残す結果を招くだけです。

●野放図な受け入れ拡大の懸念があるにもかかわらず、安倍総理は「移民政策ではない」と強弁
●受け入れの対象分野や人数など、法案の根幹に関わる論点についても「これから検討」という答弁ばかりで、無責任ぶりが露呈。
⇒ 特別委員会の設置や連合審査の実施など、徹底審議を求めていきます。

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