1月23日に召集された第211回通常国会は、最終盤に解散風が吹き荒れたものの、結局、解散も延長もなく、6月21日、150日間の会期を終え閉会しました。
閉会日の総理会見での「解散に含みを持たせたのは野党への牽制が目的だった」との趣旨の発言は、看過できない大問題です。
解散とはすなわち任期半ばで現職衆議院議員の身分を奪う行為であり、相応の大義が不可欠です。
ましてや今、政権が取り組む重要課題について、どれもこれも「結論先送り」の状況で、また、任期を半分以上も残す中での総理の解散権濫用は、国民の皆様の政治不信を増幅させるものであり、言語道断です。
さて、今後避けて通れない課題の一つが、財源論です。「異次元の少子化対策」については、児童手当の支給年齢の引き上げや所得制限の撤廃など、拡充の方向性は一歩前進と評価しますが、その財源が先送りされた上、社会保険料の上乗せ負担で賄う「支援金」制度創設論が突如浮上。
これは、「隠れた増税」とも言え、労働者の可処分所得を減少させ、賃上げの効果をそぐものです。
しかも、事業主負担も増大するため、企業が非正規雇用への切り替えを進める危惧もあります。
加えて、所得制限の撤廃の裏で「扶養控除廃止」の動きもあり、世帯によっては逆に手取り収入が減少してしまうなど、少子化対策に逆行するものであり、本末転倒になりかねません。
私たち国民民主党は、子育てや教育といった「未来への投資」は、「未来からお金を借りて」という発想で、「教育国債」の創設を提唱していますが、今後の財源議論において、改めてしっかりと提案してまいります。
税制についても目が離せません。国会閉会後の6月30日に発表された政府税調の答申では、特にサラリーマンに対する控除の見直し、すなわち増税の方向性が示唆されています。
昨年度の税収が約71兆円と過去最高を記録するも、税・社会保障の国民負担率はすでに46.8%にものぼっており、これ以上の負担増はもはや限界です。
議論すべきは、大企業や富裕層への課税強化であり、所得税の累進強化や金融所得課税の強化を国民民主党は提言しています。
もう一点、法案審議の過程でミスが続々と発覚し、未だに懸念が広がり続けているのが「マイナンバーカード」です。私は、マイナンバー制度については、迅速な給付やサービスの向上などに資するものであり、大いに進めるべきであると考えていますが、個人情報の保護や安全性の確保が大前提です。
紐付けのミスなど今回発覚した問題は、初歩的なものであり、一度立ち止まって、徹底的に総点検した上で再出発するべきです。
国会閉会中は、地元活動中心となります。信頼できる政治の実現に向け、現場主義で皆様と向き合い、課題を抽出し、その解決策をしっかり考え、国会での議論に活かしてまいります。